ふーりんさん

風鈴って凄いな、と単純に思った。 チリン、という音を聴くだけで、この夏のじっとりとした暑さをうけいれることができる。

透明なものには”夏”を感じる。それは物でも、人でも。

 

以前通っていた予備校の近くのコンビニに、風鈴によく似た従業員がいたな、と最近になって思った。似ている、というのはフォルムのことではなく、空気感?とか雰囲気的なこと。

 

男性だったが、透き通るような白い肌で、中性的な人だった。私はその人に恋をしていた、わけではなかったが、その人にレジをしてもらう時は、なぜか笑いを堪えるのに必死だった。別に面白いことは何もないのに。夏に風鈴をみると彼のことを毎年思い出す。 あの頃、名札も確認して名前も覚えていたが、もう忘れてしまった。